「男の人2人と一緒で…
1人はすぐ車に乗って、その後残った男の人と少し話してました」
浅井を見ながら話す塚越に、浅井が少し笑みを作った。
「それがどうかした?
仕事してればそれくらいの付き合いは当たり前だと思うけど?」
「そんな感じじゃなかったですっ
男の人…佐倉先輩を『みぃ』って呼んでました」
「…―――っ」
塚越の話が本当かどうかも疑ってかかっていた浅井の脳裏に、悠太の姿が一瞬にして蘇る。
『みぃ』
みのりをそう呼ぶ悠太の姿が…
返事を出来ずにいる浅井に、塚越がさらに続ける。
「それにっ…
高校の時、一時期変な噂もあったんです。
今までは佐倉先輩が不倫なんてする人だって知らなかったから…信じてなかったけど…」
「…噂?」
一度目を伏せた塚越が、また浅井を見つめた。
「学年主任の永井先生と付き合ってるって…
だから去年の南丘銀行の求人、佐倉先輩が選ばれたんだって…」
「…ただの噂だろ。
どうせ選考でみのりに負けた奴が悔し紛れにでも流したんだろ。
…みのりはそんな奴じゃない」
浅井が塚越を見据えると、塚越も負けずにキツい目つきで浅井を見上げた。
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