みのりの視線の先で浅井が微笑む。
「送ってくよ。
車は置きっぱなしで大丈夫だし、明日朝迎えに行くから」
促されるまま、駐輪場近くに止めてある浅井の車に乗り込んだ。
そして、浅井がさっきの話の続きを話し出す。
「最初は…明らかに冷たくしてたんだ。
だけど…みのりの会社に入る子だし、後輩だし…
オレが冷たくしたりしたらみのりが立場悪くするかもしれないから…」
さっきの塚越への対応が自分の為だったなんて思わなかったみのりが、しばらく浅井を見つめてから口を開いた。
「だけど…それじゃ浅井さんに迷惑がかからない?
浅井さんだって仕事なのにっ…」
「大丈夫だよ。
オレ大人だし(笑)
塚越を軽くあしらうくらい余裕。
…だからみのりは塚越の事は気にしなくていいから。な?」
不安な表情を向けるみのりに、浅井が微笑む。
そんな浅井に、みのりが少し困ったように笑った。
今日最後の教習の終わりを告げるベルが、教習所に鳴り響いた。
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