「おまたせ」
浅井の声でみのりが顔を上げた。
塚越と視線が合うのが怖くて俯いていた頭を上げると、浅井の優しく細められた目が見つめていて…
みのりが複雑な気持ちを抱えたまま立ち上がった。
まだ残っている教習生もいるのに教習所の建物の中で、手を繋いできた浅井にびっくりしてみのりが浅井に呼びかける。
「ちょっ…浅井さん?」
「いいから」
「??」
訳が分からないまま、戸惑いながらも浅井に手を引かれて建物を出る。
「あっついなー」
普通に話しかけてくる浅井に首を傾げていると、そんなみのりに浅井が耳打ちをした。
「塚越がさ、結構しつこくてまいってたんだ。
ちょっと見せつけてやれば諦めるかと思って」
耳元で響く浅井の低い声に、不謹慎ながらもドキドキしてしまった鼓動を隠しながらみのりが浅井を見上げる。
「でも…浅井さんがはっきり言った方が…」
「オレが下手に言うと、みのりと塚越の関係を悪くするかと思ってさ。
本人が気付いて身を引いてくれるのが一番だろ」
その言葉に、みのりが困惑した表情で浅井を見つめた。
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