外の蒸し暑い空気とは違ったひんやりとした空気がみのりを向かい入れた。


想像通り、多少の注目を浴びながらキョロキョロと浅井の姿を探す。


教官はいなくて、カウンターの中には受け付けのおばさんがいるだけだった。


時計は19時20分を指していた。


19時から19時50分までの教習が一日の最後の教習。


もしかしたら教習中なのかもしれないと、とりあえず端っこの椅子に座った時…

喫煙室から浅井が出てきたのが見えた。


「…浅」


「浅井さんっ」


みのりが呼ぶより先に浅井に駆け寄ったのは…


「…塚越、まだいたのかよ」


南商の制服を来た塚越だった。


「はい。

…終わりまでいるんで帰り送ってってくれませんか?」


明らかに嫌そうな顔を向ける浅井に、塚越がすがるような視線を送る。


塚越のあまりに大胆で積極的な行動を目の当たりにして、みのりは浅井を呼び掛けて開けたままだった口を結んだ。


まさか塚越がそこまで積極的に出るなんて思わなくて…


『諦めません』

塚越の言葉が、とても怖いものに思えてきた。



.