あれからずっと…悠太の事が頭の片隅にあって離れようとしない。


悠太の優しい笑顔が度々頭に浮かんで、そのたびに胸が痛くなる。


一度は好きになった悠太の過去が…苦しくて仕方ない。



「え…小田切くん?

佐倉さん知り合いなの?」


驚いた沙紀の様子を見ると、崇は沙紀には悠太とみのりの事は話していないようだった。


「はい…中学の同級生なんです」


2人いるお客さんを気にしながらみのりが答える。


空いているおかげで窓口の職員だけで十分仕事が回っているようだった。


「そうなんだ。

うーん…仕事はよくやってくれてるって崇は言ってたけど…

やっぱりお母さんの事もあるし大変みたい。

婦人病でね、たまたまあたしが行ってる産婦人科に入院してるから今もお見舞いしてきたんだけど…

お母さん、手術を控えてて、それを心配して毎日お見舞い行ってるから小田切くんの方が疲れちゃってるみたい」


「…そうなんですか」


「優しい子なのね」


沙紀の言葉に、みのりが苦しくなってしまった胸を隠して微笑んで見せた。



『よかったらお見舞い行ってやってよ』


悠太の言葉に、みのりが口をキュッと結んだ。



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