そんなみのりに浅井が小さくため息をついて…

片手でみのりの手首を掴んだ。


そして…


「やっ…痛っ…」


みのりの人差し指を口に運び少しだけ強めに噛んだ。


みのりが体をすくめたのを確認してから、浅井が噛んだみのりの指に軽く舌で撫でてから離す。


跡の残る指に、訳がわからないといった表情を浮かべるみのりに、浅井がふっと笑った。


「痛かった?

これ、傷害罪だな」


「…傷害?…なに?」


指先がじんじんと痺れだして感覚がなくなりながらみのりが戸惑った表情を浅井に向けた。


「みのりが自分だけが悪いって言って聞かないからさ。

オレも何か悪い事してそれでイーブンにしようかと思って(笑)」


にっと笑った浅井に、驚きすぎて涙も止まったみのりが笑顔の浅井に表情を歪める。


「そんなふざけてる場合じゃ…」


「みのりが聞き分けがないからだろ。

…教官の言うことはちゃんと聞かなきゃダメだろ?」


わざとなのか、ふざけた事ばかりを言う浅井に、みのりが力の抜けた表情で浅井を見上げた。


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