【完】春紫苑






【美琴 Side】






何で、今まで気付かなかったのかな?


最初からこうするべきだったんだ。



私がいなければ、こんなこと起きなかったんだから。




近付く私に必死に首を振る駿。





「刺してよ、駿」




自分で刺すのはやっぱり、ちょっと怖いから。


自ら刺すには、この世界にはあまりにも未練がありすぎるから。




駿の向こうで流が見つめてる。


ただ、ただ、ジッと私を見つめてる。



飼い主に捨てられた子犬のような瞳でダメって必死に訴えかけてくる。