「それより、ハンターに動きがあるとか言ってたけど、その理由って分かったの?」

話を逸らそうと聞くと、美音は首を振って大げさに両手を天に向けて見せる。

「全然ダメ。
私達みたいな階級のヴァンパイアには情報が下りてこないし。
でも……不思議なのよね」
「何が?」
「協会がやけに焦ってるの。
まぁ、ハンターが動き出した時はいつも、どっかのバカなヴァンパイアが事件になりそうな事をやらかした時だから、毎回協会はイライラはしてるんだけど。
今回はちょっと違うらしいの。
それだけ大きな事件を起こしちゃったって事なのかしら」
「でも、それらしい事件は報道されていないけど。
……痕跡はもうハンター側で消したって事?」
「もし事件を起こしたのなら、その可能性が高いわ。
でも、ハンターが上手く誤魔化してくれたならそれで終わりでいいハズ。
身内がやらかしちゃったからって理由で、協会が自分達の立場が悪くなるのを心配してるだけならいいんだけど。
協会は、何か隠していた事でもあるのかしら」
「それがハンター側にバレそうで……もしくはバレて、焦ってる可能性がある、って事?」