「みっ、水無月さん……!」

大学のカフェテリア。
ひとりでお昼をとろうと食券機の前に立った時、声をかけられた。

横を向くと、三人の男子の姿。
……見覚えがある。

確か……いつか、飲み会に誘おうとしてるとかって、二楷堂が言ってた事があった。

「なに?」

なかなか用件を話そうとしない男子に聞く。
じっと見上げてると、三人は緊張した様子で答える。

「俺、いくつか同じ講義とってる溝口っていうんだけど、その、よかったら一緒に食べない?」
「悪いけど」
「ほら、今日は二楷堂もいないみたいだし。
あいつさ、いっつもガードするみたいに水無月さんの隣にいるから、全然声かけられなくて。
……もしかして、付き合ってたりする? 実は、そういう噂もあるんだけど」
「へぇ」
「あ、でも、俺たちはそんな噂信じてないけど。
二楷堂ってすげぇモテて女の扱いとか知ってそうだから、水無月さんが騙されてたりしないか心配で……」