私と玲好君は、風に当たりながら無言で椅子に座ってた。…先に、沈黙を破ったのは私。

「そういえば、さ。愛希さん達って。体育祭来てくれるの?」

「…うん。去年も来てくれたから。今年も来てくれるよ。…黛城さん、料理上手だから。お弁当楽しみにしてると良いよ!」

「あぁ、確かに。愛希さんって、料理上手だよね。初めて食べたとき、ビックリしたもん」

「優花さん、本当に初日なの?って位よく食べたよね」

玲好君が、初日の時を思い出して苦笑いしていた。

「だって、美味しかったんだもん……」

私は恥ずかしいと思ってることが、バレないように、そっぽを向いた。

「優花さん、怒らないでよ」

ツンツンと、玲好君に頬を突っつかれる。

「怒ってないもん…」

「拗ねないでよ」

「拗ねてないもん…」

「ふっ、……。子供みたい……」

「子供じゃないもん…」

「イジケないでよ」

「イジケてないもん…」

「優花さん、ごめんって。機嫌直してよ」

玲好君が、机に肘を突いて顔を隠しながら両手を合わせて謝った。

「ふふっ、……。うん、もう大丈夫」

「良かったぁ…。もう、一緒にゲーム出来ないかと、ヒヤヒヤした…」

「玲好君に、とっての私の存在はその程度だったの?!…ちょっとショック…」

「うわゎぁあ!ごめん!絶対そんな事は無いから!俺は優花さんと一緒に居る時が一番楽しいから!」

玲好君は、椅子からバッと、立ち上がって私に向かって叫んだ。

「……あっ、ありがとう……」

私は、ビックリしてお礼を言う声が小さくなった。

あっ……。…と、玲好君が、か細くて小さい声を出した。…その途端、玲好君の顔は真っ赤に染め上がった。

「ぃっ、いや。そう言う意味じゃなくてね!」

「…………?そう言う意味?って、どういう意味?」

「あっ、分からないなら良いんだよ!うん!分からなくて良いです!」

「そっ、そっか…」

「うん!ぇっと……。ゆっ、優花さんは、叶の事すっ、好き?!」

「きゅ、急に?!……えぇえ?……まぁ、うん。歌上手だし。偶に優しいから…?」

「そっか…そっか…。じゃあ、玲愛は?」

「…玲愛君は、頭良いし!勉強教えてくれるし、うん。好きだよ。友達として」

「とっ、友達……?」

「……、うん。友達として」

「そっか…、じゃあ。愁太は?」

「愁太さんは、ね。マッサージ上手だし、優しいし。…でも、偶に変態だよね…」

「だよね…。それで、いつも叶、凄い怒ってるよね…」

「うん、うん。叶君って大変だよね…」

「そうだよね…。唯一、まともなの玲愛と叶しか居ないからね…」

「私も、一応まともだよ!酷いな!」

「いや、優花さんは少しドジだよ。前、ご飯炊くとき標準より、ちょっと多く入れたから。ご飯ベチョベチョだったし…」

「うっ………」

「塩と砂糖間違えて、魚が甘かったし。酢を間違って入れて味噌汁が、妙に酸っぱかっ…。あっ、ごめん。優花さん、落ち込まないでよ…。ごめん」

「いゃ。もう知ってた事だし…。うん。良いよ。気にしなくて…。どうせ、私何か。ドジしまくって、最終的には叶君が全部やってくれるような。役立たずな人間ですから…」

「ちょっ、そんな事無いから!ねっ?気を落とさないで?!優花さんの、料理は凄い美味しいからさ!ねっ?」

玲好君が、アワアワ戸惑いながら私を慰めてくれた。私は、少しの間やる気をなくしてた。