できるだけゆーっくりと目を開ける。

 戻ってると期待して。

 左目を開けて、続けて右目。

 戻ってると期待して。
 
 何も変わらない気がするのは、気のせい?

 いやいや、戻ってると期待……
 
 目線の先には、病院の壁。

 
 壁?

 壁って?

 壁???

 なぜ?


「どうして壁」


 
 身体を左に向けるとそこにはアンジュラの顔。

 その隣にはルーインが目を見開いてびっくりしてる。


「ちょっと」
 
 どういうこと! と、自分の身体を踏んづけて歩き、アンジュラに詰め寄る。胸ぐらを掴み、がくがくさせる。

 いや、それは私にも何がなんだか、どこでどうなったらこうなるのか分かりません。と、笑いをこらえながら言う死神にムカッときて……

 ルーイン! 

 ルーインに問題を投げつけるも、ルーインですら意味が分かってないらしい。

 ように見えた。

「え、だってこれ『試し帰り』だろ? アンジュラ言ってたよな、0パーセントに近いって」と、けろっと言う。

 しかもその『試し帰り』なんて業界用語、聞いたことないし。



「あんたたち本当にそれでいいの?」


 そんなに適当な感じでこんな重要な任務みたいなのをやってて、本当にいいわけ?
 
 そんなことでいいと思ってんの?


 戻ってないじゃん! てか、戻れないじゃん! 

 最大限に大きな声でまくし立てた。