天使みたいな死神に、恋をした


 私は『私の身体』の上まで歩いて、お腹の上あたりにちょこんと座ってみる。
 

 重くないかな……
 

 やっぱり重さなんてないのか。

 
 2つ3つ隣のベッドから声が聞こえた。誰かが叫んでいるような、呼んでいるような。

 
 先生! 目を、目を覚ましました! 早く来て!

 
 叫んでいる女性の声だ。
 
 
 聞き覚えのあるその声につられ、医者やナースが足早に走って行くときに巻き起こる、薬品のにおいの混じった小さな風の流れに乗って、ふわりと漂ってみる。

 


 ベッドに横たわっている人の指先が動いた。