【ぼちぼち宴もたけなわです】



 じーっと亮の顔を眺め倒すこと数分、答えは未だに降りてこない。ただ、なんだか一生懸命に私の手をさすっているのを間近に見ちゃうと、顔中ぐっしゃぐしゃにしているけれど、つられて泣けてくる。
 
 愛されてるんだぁ、私。こんなボロボロの姿を見せてくれるほど、大切に思ってくれてるんだ。あぁ、そういうことか。愛されてるんだ私って。

 今頃になってアンジュラが言ってた言葉の意味が分かるなんて、なんてぼんくらな頭。
 まだこっちにくるべき時じゃないんだ。
 
 何事においても深く考えないというか、楽観的というか、『ま、なんとかなるっしょ!』的な考えって、いいときもあるけど、こういうときは本当にマイナスに働く。
 
 だって、何が一番大切で、何を優先しなきゃいけないかってことすらも、考えない。目の前に楽しそうなことがあったら迷わずそれを優先しちゃう。
 ちょこっと考えてみれば(ルーインの言葉をまた引用するなれば)すんなり帰れたはずなのに、私のわがままと好奇心からだらだらと引き延ばし、無意味に時間を使っている。こうなったのはアンジュラでもルーインのせいでもない。私のせなんだ。

 今までに要した時間をさっさと体に戻る時間に充てていたとしたら、きっと私はこの体に意識を戻らせて、体中の痛みに顔を歪めているだろう。
 
 遅かれ早かれそうなるならば、早いほうがいい。何事も、さっさと片付けた方がいいに決まってる。