余計なことは考えずに、ひとまず綠さんに会ったら彼女を連れて病院で横たわる私の元に行くことにしよう。あれを見たら彼女の気持ちも変わるかもしれない。まだ『翠』だって思い込もうとしている気持ちとそれを阻止する罪悪感の半分でも残っていてくれたらいいんだけど。

 それから彼女がどうしてこんなところにいるのか、何がそうさせたのかを突き止めなきゃならない。その後で、ちゃんと行くべき場所に行ってもらうように説得しないと。

 私、身代わり的なかんじでこっちに来ることになっちゃうってことだもん。

 緑さんはもしかしたらまだこの世に未練があるのかもしれない。それも、強烈な未練。

 だから私のふりをしていて、私が死んだらルーインサイドへ行けて、また違う所で生まれて違う人生を送ることができる。

 もし私が意識を取り戻したら、その時は『私』となって生きて、自分の未練を断ち切るつもりなのかもしれない。

 それなら後者になるまえにどうにかしないといけない。その未練をどうにかして取り除いてやらないとならない。

 この二人に任せていたらいつになるか知れたもんじゃない。


 私がやるしかない。