僕は、そっと壬生寺のほうへ向かった。 たぶん、この時間なら誠太郎もいるだろう。 あの子は、あまり他の子と遊ぼうとしない。 いつも一人なのだ・・・・・・1年前から。 僕は、子供達が忘れていた鞠を拾う。 ・・・・・・そうだ、誠太郎と鞠つきをしよう。 新しい、手鞠歌を教えてあげないとな・・・・・・ 『梅の花 一輪咲いても 梅は梅』 ――――もちろん、豊玉さんの句を使った物をね。