僕と加奈、そして悠里と西村さんは同じクラスだ。
僕の前の席が加奈で、後ろが西村さん。
だけど悠里はふたつ列を隔てた向こうで、三つくらい前。ひとり離れている。
それなのに彼は今、僕の前――つまり加奈の席に座っていた。
それも、ただちょっと場所を借りているというわけじゃなく、加奈の机と自分の机を丸々移動させていた。
「なんのつもりだよ?」
クラスのみんなはなんだなんだと見ているし、先生が来たら来たで、どんな風に言うつもりだろう。
椅子を横に向け、僕の机に肘を突いている悠里はまるで、審問官のようだった。
刑事ドラマなんかで、「お前がやったのか? ん?」って訊ねてくるあれだ。
「なんのつもりもなにも、君が加奈ちゃんと距離を置きたいって言うから。僕の親切心だよ?」
そんな親切心まったく要らないと即座に反応しようとしたけど、やめた。
そうさそうともその通り。
僕は加奈と距離を置きたいって言った。
だから悠里の行いは、とてもありがたいことなんだ。
僕の前の席が加奈で、後ろが西村さん。
だけど悠里はふたつ列を隔てた向こうで、三つくらい前。ひとり離れている。
それなのに彼は今、僕の前――つまり加奈の席に座っていた。
それも、ただちょっと場所を借りているというわけじゃなく、加奈の机と自分の机を丸々移動させていた。
「なんのつもりだよ?」
クラスのみんなはなんだなんだと見ているし、先生が来たら来たで、どんな風に言うつもりだろう。
椅子を横に向け、僕の机に肘を突いている悠里はまるで、審問官のようだった。
刑事ドラマなんかで、「お前がやったのか? ん?」って訊ねてくるあれだ。
「なんのつもりもなにも、君が加奈ちゃんと距離を置きたいって言うから。僕の親切心だよ?」
そんな親切心まったく要らないと即座に反応しようとしたけど、やめた。
そうさそうともその通り。
僕は加奈と距離を置きたいって言った。
だから悠里の行いは、とてもありがたいことなんだ。