朝、いつものようにヨシの家へ行ってみると、彼はもういなかった。

いつもの時間より、ずっと早く出てしまったらしい。

昨日のこと気にして?

だったら、私はもう気にしてないのに。

彼がどうしてあんなことを言ったのかわからない。

自惚れた考えになるけど、もしもヨシが、私に怒鳴っちゃって顔を合わせづらいなら……

私、そんなの全然気にしてないよって笑顔で嘘をつける。

ヨシが絶対に気に入ってくれる笑顔で、答えられる。

そしてその嘘を、本当にしてしまえる。

その準備も練習も、朝からやってきたのに。

「ごめんなさいねぇ加奈ちゃん。善紀、今朝はすごく早く出ていっちゃって。

私てっきり、加奈ちゃんにも伝えてるものだと……勝手に行っちゃうなんてね。許してやってちょうだいね?」

彼の家の前で、ヨシママにそう言われた。

ショックだったよ。すごくショック。