絶対ない、なんて言ってしまったらただの自信過剰だけれど、イヤな顔はされないと思う。

たぶんきっと、喜んでくれる。

告白を決意してから何度も、加奈の喜んでくれる顔ばかり想像してる。

頭の中の予行練習は、百回なんて確実に超えてるに違いない。

しかも頭の中の予行練習では、毎回毎回言いたい言葉が変わってしまうし、加奈の反応も変わってしまう。

本番じゃないんだから、どれだけ変わっても現実にはなんの問題もないけれど……

おかげでとてつもなく感覚が掴みづらい。

「これだ!」っていうものが掴めないから、予行練習は自信もつかないままドンドンどんどん回数だけ増えていく。

気分は、スランプに陥った作家が大量の原稿をゴミ箱へポンポン投げ込み続けるような感じだ。