「サメって……女の子はサメでわくわくもどきどもしません」

「うえ、やっぱりっすか」

「そうだよ。じゃあ北川くんはサメでわくわくどきどきするの?」

「そっすね。近くまで来たときなんか、うおっ、でけぇ! て叫びたくなりますよ」

「またまたあ」

力説してくる彼に、私はもう一度ぷっと吹き出し――

「――でっか!?」

中に入って、そのジンベエザメくんとご対面してから、驚いた。

北川くんの言ったとおり、ついつい叫んでしまうほどに。

外から見た時はなんだか少しさびれて見えた水族館も、入ってみれば思ったより人がいた。

日曜日だから親子連れもたくさん。

ガラス張りの水槽をあっちこっちへ走っていく子供達の声が、館内に響いていた。