初めて来るところだった。

わらび時計のある駅から少し歩いて、通りからそれた小道。

店の軒先まで平台を出して果物や野菜を売っている八百屋さん、

服のたくさんかかったカートをせり出させてる洋服屋さん、

少し暗い、だけど小ぢんまりしてゆったりできそうなカフェや、マイナーなスーパーがある細い道を抜けると、

そこは水族館だった。

初めて、来るところだった。

「こんなとこに水族館、あったんだ」

「意外とみんな知らないンすよね。でもけっこう前からあったんすよ。ま、ショーとかはやってないンすけど……」

「ふ~ん」