彼女の瞳から、涙が再びポロポロと零れ落ちた。


「そっか。コレを捨てる、という選択もあったんですね?そんな簡単な事に、今まで気付かずにいました」

彼女はそう呟くと、抱いていた靴を、そっと冷たいコンクリートの上に置いた。

「何だ、それだけの事か……」


今度は彼女の綺麗な涙が、月の光に輝く。


それは今夜の月の光を反射させていた物の中で


一番美しい輝きを放っていた。