コツコツコツ…… 静かな夜の社内に響く、軽い足音。 ―― あ、来た…… そして 「10番、18番、23番を残して消灯しまーす!」 守衛さんの声と同時に、フロアの電灯が一斉に消される。 ―― もうPM8:00か 「お疲れ様でーす」 そんなに遅い時刻とは思えないけれど、フロアには数名の社員が残っているのみだった。 数カ月前から PM8:00 になると、フロアに残っている社員のデスク回り以外の電灯は、こうして守衛さんによって無情に消されるようになった。 それが“エコ”だとか、なんだとか。