身体中の骨が軋んでいる。
頭は眠りを欲しているのに、どういう訳か身体がそれを許してくれない。
その理由が何分置きかで起こる激痛である事を時々忘れてしまう。
コンクリートの壁に打ち付けられた革の拘束具に括られてから、どれ位の時間が経っているのだろう。
窓が無いから、外の気配で時間を察する事も出来ない。
無性に喉が渇いている。
水をくれ……
何度声に出したか……
叫んでいるつもりなのだが、その事すらもまるで夢の中の出来事でしかないような感覚になっている。
普通の人間ならとっくに音を上げてもおかしくない。それ位、澤村はボロ雑巾のようにされた。
意識が朦朧となる度に、激痛で我に帰る。
再び意識が堕ちた。
夢を見た。子供の頃の夢だった。
夏祭り……。
父親に手を引かれ、時折上がる花火に歓声を上げる。花火の打ち上がる数の間隔が短くなって来た。
ドーン……
パーン……
ドーン、パパーン……
ド、ドーン……
音が少しずつ近付いて来る。何時しかその音は自分の全身を包み込む程に感じ始めた。
意識が現実に戻ろうとしている。
激痛が蘇る。
間断無く起こる爆発音と花火のような音は、益々鮮明になって来る。
銃声?
はっきりとそう判り始めた。微かに怒号も聞こえる。
澤村は、じっと耳を傾けた。悲鳴と怒声の中に、自分の名前を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
錯覚か?
それが錯覚ではなかったと気付いた瞬間、澤村は無意識に声を張り上げていた。しかし、声にならない。
括り付けられた戒めを何とか外そうと揺さ振ってみるのだが、びくともしない。
爆発音が近付く。銃声がはっきりと判る。
浅井……
扉の外を走り抜ける足音が聞こえ来た。
助かる……
澤村は、渾身の力を振り絞り、声を張り上げた。
「あ、浅井っ!ここだぁ!」
頭は眠りを欲しているのに、どういう訳か身体がそれを許してくれない。
その理由が何分置きかで起こる激痛である事を時々忘れてしまう。
コンクリートの壁に打ち付けられた革の拘束具に括られてから、どれ位の時間が経っているのだろう。
窓が無いから、外の気配で時間を察する事も出来ない。
無性に喉が渇いている。
水をくれ……
何度声に出したか……
叫んでいるつもりなのだが、その事すらもまるで夢の中の出来事でしかないような感覚になっている。
普通の人間ならとっくに音を上げてもおかしくない。それ位、澤村はボロ雑巾のようにされた。
意識が朦朧となる度に、激痛で我に帰る。
再び意識が堕ちた。
夢を見た。子供の頃の夢だった。
夏祭り……。
父親に手を引かれ、時折上がる花火に歓声を上げる。花火の打ち上がる数の間隔が短くなって来た。
ドーン……
パーン……
ドーン、パパーン……
ド、ドーン……
音が少しずつ近付いて来る。何時しかその音は自分の全身を包み込む程に感じ始めた。
意識が現実に戻ろうとしている。
激痛が蘇る。
間断無く起こる爆発音と花火のような音は、益々鮮明になって来る。
銃声?
はっきりとそう判り始めた。微かに怒号も聞こえる。
澤村は、じっと耳を傾けた。悲鳴と怒声の中に、自分の名前を呼ぶ声が聞こえたような気がした。
錯覚か?
それが錯覚ではなかったと気付いた瞬間、澤村は無意識に声を張り上げていた。しかし、声にならない。
括り付けられた戒めを何とか外そうと揺さ振ってみるのだが、びくともしない。
爆発音が近付く。銃声がはっきりと判る。
浅井……
扉の外を走り抜ける足音が聞こえ来た。
助かる……
澤村は、渾身の力を振り絞り、声を張り上げた。
「あ、浅井っ!ここだぁ!」



