何も言えなかった。 だから、わたしは平助君の手を握った。 驚いてわたしを見る平助君に、笑いかける。 すると、平助君も笑った。 ただ・・・少しだけ寂しそうに。 巡察を終えて屯所に帰る時、その時は平助君の様子に、おかしい所は無かった。 いつも通りの、あたりをパッと明るくするような・・・ そんな笑顔を、周りに振りまいて。 わたしを、これでもかって位、抱きしめて。