笑いながらそんなふうに言われて、あたしは顔を赤らめた。


やめてよ! そりゃたしかに多少は甘えてるけど!


それはただ、あんたのことを頼りになる男だなって思ってるだけだもん!


あ、いや。そういう恥ずかしいことじゃないんだよ!


……てか、なんでそれが恥ずかしいことになるんだ?


なんであたし、こんなに心臓ドキドキさせてるの?


意味不明に動揺しているあたしとは対照的に、大地は淡々と書類に必要事項を書き込んでいる。


広い肩幅に、大きな手。


背も高くて、靴のサイズもあたしとはこんなに違って、大地は男の子なんだって実感する。


そう思ったらますますドキドキしてきて、そんな自分に混乱した。


あたしがドキドキしていいのは柿崎さんだけだよ。運命の王子様である彼だけ。


そもそも、大地が悪いんだ! 『お前は俺に甘えてる』なんて、失礼で恥ずかしいことを言うから!


とにかく、あたしはねぇ……!