お願い、大地! ちょっと冷静になって……。


「……あ」


冷静になって周囲を見回せば、ここは、前にあたしが大地に案内されたことのある、あの寂れた公園だった。


なんだ、ここか。焦って損した。


でも、なんでここに連れて来たんだろう?


ここになにか用でもあるのかな?


「まあ、座れよ」


あのときと同じように、大地はブランコを指差した。


よくわからないけれど、なんとなく逆らえずに、あたしは素直にブランコに腰を下ろす。


辺りはとても静かで、わずかにブランコが軋む音と、遠くから聞こえる車の音以外は、なにも聞こえない。


「お前、なんかモヤモヤしてんだろ? それ、ここで吐き出せよ」


「え?」


心の中を言い当てられて驚くあたしを、大地は穏やかな表情で見つめている。


「いつもみたいに俺に八つ当たりしていいからさ。ぜんぶ吐き出しちまえよ」


あたしは、穴が開くほど大地の顔を見つめ返した。


そして、「……なんで?」って聞いた。


あたし、なにも言ってない。


なのに、なんであたしの気持ちがわかったの?


「そりゃわかるさ。お前と俺は同士だからな。心で繋がっているんだよ」


わざとふざけているみたいな、おどけた口調で大地が言った。


その笑顔が、声が、こんなに薄暗い視界の中で、こんなに眩しい。


あんまり眩しくて、あたしの両目に涙が盛り上がって、大地の笑顔が霞んで見えた。