それから何度もおまわりさんに頭を下げて、あたしたちは交番を後にした。


夜の駅前を走る車のライトや、色とりどりの明るいネオンが街を照らして、昼とは違った賑やかさを感じさせる。


そんな中で、あたしは自分の靴を見下ろしながら、ひと言もしゃべらずに歩いていた。


「大地、七海ちゃんを家まで送ってくれるか? 僕は店に戻るよ。お客さんが来るかもしれないし」


「あたしもお店に戻るわ。キッチン放り出して来ちゃったし」


「わかった。七海は俺がちゃんと送るから」


あたしは、そんな三人の会話を無言で聞いていた。


お姉ちゃんにも柿崎さんにも、本当に申し訳ないことをしてしまった。本当に肩身の狭い思いでいっぱいだ。


「七海ちゃん、また明日ね」


「七海、また後でね」


優しい笑顔を見せながら手を振って、ふたりはお店に向かって去って行く。