「そんなことないっ! 私はみっちゃんしか……!」
「わかってるよ!」
必死で懇願するように私がみっちゃんに縋り付きそうになる時に、みっちゃんは意地悪い顔を私に向けていた。
「わかってる。わざと! このくらいいいでしょ? あーすっきりしたー」
私に小さな仕返しをしたみっちゃんは、本当にすっきりした顔をして、けらけら笑う。
……もう。
本気でドキドキしたよ。
私はバクバク動く心臓を片手で抑え、涙目でみっちゃんを見る。
「でも、だいぶハードル高いとこに行っちゃったねぇ」
「……かなり」
「ライバルは多いし、何より本人が掴めない人間ぽいし。そして立場が、ねぇ」
別に悪気があって言ってるわけじゃないって知ってる。
みっちゃんは、自分のことのように悩んでくれてるだけ。
先生と生徒。
それは今は変えられない事実。
でも数ヶ月後、それは先生と元生徒になるわけで。
だからってそんな小さな変化でどうにかなるなんて思ってないし、そんなんで解決するならただ指折り卒業を待てばいい。
なんだろう。
私は何を望んでるんだろう。
センセイの彼女?
もちろん、それが一番望みに近い言葉な気はする。
でも単純にそう願うのもなんだか違って。
ただ、私がセンセイを好きだから、付き合って欲しい。それでOKして貰ったらゴール……って感じじゃない。
やっぱり――。
心からセンセイが笑う顔を見たい。
それを私に向けてもらえたら幸せな気がする。
センセイのトクベツになりたい。
あのクリップの先生のように。
あんな風に、想われたらいいな。
それこそすっごいハードル高い願いかも。



