「今日は短縮授業。職員会議だっつっただろ、昨日のSHRで」
「えっ」
そうだったっけ?
昨日…昨日は…なんかもうなんにも耳に入ってなかった。
センセイの声でさえ、私の頭に入らなかった。
「上の空だったからな、お前」
センセイが未だに真っ直ぐ私を見るから、本当に全部わかってるのかと思って俯いた。
そのあとは少しの間、無言で。
耐え切れなくなった私は、目を逸らしたままカラ元気で口を開いた。
「じゅ…授業少ない日に欠席なんて、ソンした!」
はは、っと小さく笑いながら言って、センセイの反応を窺う。
それでもなにも言わないセンセイに、やたらソワソワしてしまって、私は次から次へと言葉を重ねる。
「あ、でもどうせ課題とか倍出てるんだろうし、変わらないのかな! あー…まさか、センセイ持ってきてくれたのってその課題? それなら要らなかったなー」
普段こんなにベラベラと話すことはない自分。
だから余計に話し終えたあとの沈黙が居心地が悪い。
ねぇ、センセイ。
私ひとり空回りしてるのを、前からどう思って見ているの?
バカだな、恥ずかしいやつだな、とか思ってる?
可能性なんてゼロに等しいのに、って。
「傘…使わなかったのか」
センセイの言葉を聞いて、顔をあげると、私の机の横に立て掛けて置いた閉じたままの傘をセンセイは見ていた。
「…どうせもう、濡れてたし」
「……悪い」
一言だったけど確かにセンセイはそう謝った。
「責任感じて、わざわざ来たの…?」
「…コレ渡しにきただけだ」
センセイは表情を変えずに、A4の茶封筒を私に差し出した。



