「―――吉井が、好きだから」
車掌の「発車します」というアナウンスと同時に水越は言った。
だけど、聞こえないフリなんか出来ないくらいにハッキリと聞いてしまった。
普通、嬉しいはずの告白。
でも、聞きたくなかった告白。
私が目を泳がせていると、水越は相変わらず真っ直ぐと視線を逸らさずに話をする。
「好きなヤツのことは、気になったって仕方ないだろ」
なんにも言えない。
だって、そうだ。
水越の言ってることは間違ってない。
ただ、それぞれ想う相手が違ってるだけで―――私の中でそれに相当する相手が、センセイなのだから。
「吉井って、真山に興味あるヤツじゃなかった」
「……」
「でも、昨日の感じだと…」
「…本当、別に何もないから」
私はやっぱり水越を見ては上手く話せない。
だから、真っ直ぐ前だけを見て、伝える。
水越の視線をずっと感じながら。
「でも、“興味”出た?」
「…向こうはなんの“興味”もないだろうし」
「吉井には、やっぱあるんだ」
「他の女子と一緒みたいに言わないで」
ついツンとした口調で返してしまう。
照れ隠しというか、気まずさからというか。
でも、そんな私を「好き」と言ってくれた相手に少し悪いな、という気持ちも出てくる。
「……ごめん」
何を謝ったのか。なんで謝るのか。
よくわかんないけど、自然とそう言っていた。



