「おす」


遠目で、写真を何枚も撮っているクラスメイトを眺めていたら横から声が聞こえた。


「あ、おはよう」
「すげぇなぁ、女子は。あんな同じような写真何枚もいるか?」
「思い出だよ、思い出。だってもう本当最後だから。撮り過ぎて損はないでしょ? もう絶対に撮ること出来ないんだから」


呆れた視線を向ける水越に私はそう説明した。


「の、わりに、吉井は撮んないんだな」
「……写真、苦手なの」


窓際に水越と並んで寄りかかりながら教室を眺めるようにしてぽつりぽつりと会話をする。


「あ、水越! 写真撮ろー」


そんな視線に気づいた女子が、そういいながら水越に声を掛けて手を振る。


そういえば、水越ってそこそこ女子に人気あるんだった。
モテるっていうのか、ただの友達としての人気なのか定かじゃないけど。


写真を求められる水越の姿をちらりと横目で見てそんなことを思い出す。


「えぇ? オレはいーよ」
「なんでよーいいじゃない! 最後だよ?」
「悪用されそうだし」
「するわけないでしょっ」


「あはは」と楽しげな笑い声をあげたクラスメイトが水越を引っ張っていく。

私は、“関係ない”と、それをただ傍観していたら、その子が私にも笑顔を向けた。