すでに気が付いていた私は驚くことなく振り返る。
「どうしたの? まだいたの?」
そこに立っていたのは水越で。
別に嫌味とかじゃなくて、純粋にまだこんなとこにいて大丈夫なのかと口から出た。
「ああ、もう行くけど……」
「?」
1メートルくらいの距離を正面から向かい合う。
なんだかまるで、告白の場面のようだ、なんて客観的に思ってたり。
だって、水越が歯切れ悪いまま、なかなか続きを話そうとしないから。
私はしばらく黙って待っていたけれど、いよいよ待ちきれなくて急かしてしまう。
「ねぇ。何かあるんでしょ? 早く言って」
そんなに言いづらいことってなに?
そういうの、本当気になるから早く教えて欲しい。
そう言ったら、水越が何か覚悟を決めたように、目を真っ直ぐと向けてきた。
「吉井、今日予定ある?」
「え……いや、ない……けど」
「じゃあさ、ちょっと待てる?」
「……30分くらいなら」
「わかった。じゃあ急いで行ってくるわ」
素直に「待てる」と返事が出来ずに、「30分」とリミットを設けてしまった。
……だってなんか、怖くて。
水越が何をしたいのか。
だから時間制限で、あわよくば逃げかえりたい……なんて思っちゃった私はヒドイな。
きっと、水越は30分以内に戻ってくるから意味ないのに。
気付いたら教室の掃除も終わりかけで、元通りになった机を見て、私は自分の席にまた着いた。



