「なに? なんか悪いことでもしてたの?」
冗談半分に聞いてみた。
「……別に」
「ふーん」
なんかもっと面白い反応が返ってくると思ったのに。
そんな予想に反して、むしろ水越は冷静に、若干冷たく感じるくらいの返事をするだけだった。
なんとなく気まずい気がして私はそのまま教室に向かおうとすると、水越が並んでついてくる。
ついてくるって言ったって、教室同じだから仕方ないんだけど。
そのまま特に何を話すこともなく教室まで着くと、私の席にみっちゃんが座って待っててくれたのを見てホッとする。
「みっちゃーん。お待たせー」
「ううん。買えた?」
「買えた買えた!」
水越を置いたままみっちゃんに駆け寄る。
みっちゃんが私を通り越して、水越がいるところに視線を向けた後小声で言う。
「え、なに? また何かあったの?」
きっと一緒に戻ってきたからそう思ったんだろう。
私は偶然だったことを伝えて席に着いた。
「なんだ、たまたまか。水越だったらめげないでグイグイきそうなのに」
「また面白がって」
「だって、仕方ないでしょ。面白いもん」
「……正直者」
拗ねた私はみっちゃんから顔を逸らしてパンを頬張る。
その私を宥めるように、みっちゃんは笑いながら私の肩をポンポンと叩く。
「そういえば、手ぶらで帰ってきたね」
「ん?」
「水越。さっき香川センセに呼ばれてたから何か配布物とかあるのかと思ってたけど」
「あ、言われたら……なんにもないね」
そんな会話をしながら私たちは水越へと視線を注ぐ。



