雨、ときどきセンセイ。


相変わらずの空模様。
その静かな雫が落ちる音に集中力が奪われてる気がする。

ぼんやりと香川先生の声を遠くに聞いているうちに授業は終わった。


「あ、水越くん。少し、いい?」


頬杖をついて窓の方を見ていると、そんな言葉が耳に入った。


水越が呼びだされるなんて珍しい。


だけど別にそれ以上気にすることもなくて、ちらりと私を横切る水越を見送った。


「梨乃。お昼食べよ」
「あ、ごめん。私今日購買いかなきゃないんだった!」
「急がないといいもの売りきれちゃうんじゃない?」
「ダッシュで行ってくるから!」


そうみっちゃんに言って私は廊下に飛び出す。


4限目が終わると購買は人だかりになるのが常。

いつもは3限目の後に買いに行くんだけど、なにせさっきの休み時間は水越に捕まっててすっかり忘れてたなぁ。


そんなことを今思っても仕方がない。

私はギュウギュウと押されながらようやく前列へと身を出して、なんとかパンを買ってその人ごみから外れた。


年中セールだな、ここは。


ふぅ、と一息吐いて今来た廊下を戻る。

階段を昇ると香川先生の後ろ姿を見つけた。
その姿をなんとなく目で追って歩き進めようとしたら、非常階段の近くから水越が突然姿を現してびっくりした。


「わ!」
「うお! な、なんだよ。吉井、脅かすな」
「だって急にいつも人気のないとこから出てくるんだもん」


ぶつかりそうになった距離を少し離して水越を見る。
そしたら水越がなんか動揺しているような気がして首を傾げた。