モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。

「刑事さんは、あーーーっと
岡崎さんでしたか?
いつ頃、気づかれたんです?
今回の事」

と、神村が聞いた
いくつになっても
常に好奇心旺盛の男だった

「捜査に関わることですので
詳しくお話することは出来ません
ただ、まぁ、調べていく上で
色んな事実から
かの子さんが捜査線上に上がり
少し追ってみたところーーー
というかんじですかね
あとは……」

言葉の続きに神村が
期待の眼差しを向ける
そして、
岡崎の口から出た言葉は

「適当な勘です」

だった







その後も、
岡崎と神村は好きな
推理小説の話で盛り上がっていた

美雨はそんな二人を よそに
杜ばかりを気にしていた

杜は先程から何一つ話すことはなかった
美雨は杜に一言でも発して欲しかった
否、欲を言えば
自分の気持ちに変わりはないのだと
ハッキリと伝えて欲しかった
ただ、先程からの様子を見ていると
そんな言葉など出てきそうにもなかった

なので美雨はせめて…
せめて
一言でも良いから…
たったの一言
「美雨」
と、名前を呼んで貰いたかった
それが、せめてもの
救いになると
心で祈った



が、
結局、その言葉は聞けなかった
そして次の日ーーー








杜は
いつかの時のように
また姿を消したのだった