モルフェウスの誘惑 ※SS追加しました。

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かの子は美登の姿を捉えると
その場に泣き崩れた

美登はゆっくりと近づき
かの子の手にぎゅっと
固く握りしめられたナイフを
取った

「何で、邪魔するのよ
何で…ダメなのよ
だって、構わないじゃない…
私と杜は愛し合っても
誰にも止める権利はないじゃない
だって…
だって、そうでしょ」

「かの子さん…
僕、この前、長野にまで行って
言いましたよね
どんなにかの子さんが動いたって
もう、杜の心は手に入らないんですよ
ってこと…
僕もね
失恋してるわけです
直接、本人たちに
聞いた訳ですから
杜がね
あんなにも自分の気持ちをストレートに
出すってなかったから
二人の真剣な思いが伝わったから…
だから、僕は友人として
見守ろうと
そしてあなたの事もーーー」

美登は小さく息を吸うと
静かに言った