「アヤキちゃんのこと、心配してた」
マスターの柔らかなその声に、耳をすませていると、思いもよらない言葉が落ちてきた。
「...なんで?」
ていうか、私のことをそもそも話題にすることなんて、ないはずなのに
「最近、お店には来ないっていうことを知ってさ。それで、仕事のこととか、色々と無理してないかって」
気にすることは、ないのに。
「マスターから、言ったんでしょう?」
だから、智樹はそれに話を合わせた。
それ以外ないもの。
「いや、僕からはアヤキちゃんのことを話すことはないよ」
どうして…
「いつも、トモくんが僕に訊いてくるんだ。アヤキちゃんは、どうしてるかってね」
なんで、そんなこと...わざわざ聞く必要ないのに。
私なんか、この銀紙を見つけるまで、智樹のことを忘れてた。
元カノのこと、いちいち心配なんかしなくていいのに。
しかも、あの智樹が?
信じられない。



