ゴホンッ。
咳払いをひとつ。
後ろに座っている彼らを意識していた生徒たちの視線が一斉に、私に向いたのを感じた。
やっと話が進められる!
と意気込む。
「神無際のことだけど―――‥」
本題へと話を戻す。
神楽坂高校のイベント。
〜神無際(カンナサイ)〜
『生徒たちの意欲向上をモットーに創られた祭り』
体力・精神力・技術力を其々のクラスごとで競い合う。しかしそれは並み大抵の競い合いではない。
そして今決めているのは『心』『体』『技』其々がどのチームに所属するかだ。
――――簡単に生徒に一通り説明する。生徒も毎年のことながら、内容は把握している。
どのチームに所属するか希望を問うと察していた通りの展開に。
「総長!先に選んで下さい!」
「庵さんもどうぞ!」
「蒼衣さんも!」
彼らを敬愛する男子生徒たちが彼らの希望を優先させる。
我先にと彼らに声を掛ける生徒。何もそこで争う必要ないのに、と思う私は正しい。
まず神楽坂の3年生はA〜Fと6クラスもあるにも関わらず牙龍幹部の生徒が何故3人も固まっているのか。
それに加え、野々宮さんまで。
学校運営側は何を考えてこのクラス編成を行ったのか。きっと何も考えていないと思う。偶々だ。
そして私が3Aの担任になったのも偶々。
神楽坂高校に赴任してからクラスを受け持つのは初めてだけど―――――まさかこんなデンジャラスなクラスだとは思いもしなかった。