母さんと付き合う前に付き合っていた彼女か、あるいは当時持っていた中古車に憑いていた霊かもしれないとも思った。


 けれど、どれも当てはまりそうで、どれも当てはまらないような気がした。


 数年以上経った今となっては、引っ越しもしたし、中古車も売ったし、白銀色の亡霊の正体が完全に分からなくなってしまった。


 ただ、その白銀色の亡霊を見たからかどうかは分からないが、少しの間霊感が開花したのは紛れも無い事実。


 ある時は見ている景色の左半分に黒髪の女性の顔が眼球に張り付くように“そこ”にあった。


 ある時は窓から景色を眺めていたら、兵隊の格好をした人が電信柱を境に消えた。