「あ、やべーこんな時間。報告あるから、もう行くわ」 「うん、見舞いありがとな」 「なにか要るものあったら言ってね! じゃ」 「あ、あのさ」 ナイジェルの声を合図に、扉に向かい始めた友人たちの背中に、アレンは不意に、ぽそりと呟いた。 「ロイには黙ってて」 キュウとナイジェルが振り返って、目を丸くする。 「え?」 「あ、いや」 ニラは、表情こそ変わらないが、アレンの顔をじっと見ていた。 急に視線が集まったことに戸惑って、アレンは、取り繕うように言った。 「なんでもない。言ってみただけ」