「俺は思ったことを正直に言ってるだけじゃねえか」

「トラの正直の度合いは普通じゃねぇんだでば! ドストレート過ぎて、バンビ先輩は本気で言ってんのか冗談なのか、判断できねえんだと俺は思うね」


判断できねえとか大丈夫か。ふざけた言動しかしない奴の最見本が俺の隣にいるぞ。何より、ついさっき俺のこと素直って微笑んだあれはなんだって話になるべや。


「あー……マジ意味分かんね」


ぼりぼり頭を掻くとバクがぷっと吹き出し、


「トラざまあ」


と楽しげに言ったので、バンビ先輩が「掃除しなさい!」と怒らなければ喧嘩を始めるところだった。


一体全体どうして、今度は俺がフラストレーション溜めなきゃいけねえんだよ。



この日の帰り道、停学中のきゅうに≪越白って校医、知ってたら教えろ≫とメールを送った。


≪来る者拒まずでバンビ先輩という女神を抱いてその気にさせておきながら他の女子ともイチャイチャラブラブそれはもう校内だろうがお構いなしで(中略)保健室のホストとか呼ばれてるどうしようもねえ男だよ!!! 今日なんかあったのか!? 事細かに説明し≫


途中で読むのはやめたが、すぐにそんな返信がきた。


最近別れた彼氏は他校生だと知っているし、3年の李堵ってやつも元カレで、しかも初体験の相手だときゅうが言っていた。バンビ先輩いわく黒歴史である校医も含めれば、校内にふたり元カレがいるってことになる。


「……何人と付き合ったことあんだ、あの人」


考えたところで苛立ちしか募らず、もやもやした気持ちのまま就寝した。



++