「あの校医は先輩のそういう面を見たことがあんのかと思ったら、イラついて、じっとしてらんねかった」
「……」
「まあ、八つ当たり? つーか、他の男に見せてんじゃねえよっていう、ただの独占欲です」
食堂に踏み込むと、ひとり掃除を続けていた様子もないバクがいた。あの野郎。
「はーもう遅いっすよバンビせんぱー……顔赤くね?」
バクの問いに、半歩後ろにいたバンビ先輩に目を遣る。
「赤くなんかなってない!!」
「いや赤いっすよ。どうしたんすか」
「どっ……!」
コイツ今どうしたって言った!?って感じの表情になったのは分かる。けど、なしてそんな赤面してんのわ?
「虎鉄アンタ……っなんなの!? 天然なの!?」
「は? 違いますけど」
「トラよぉ、どうせまたセクハラ発言したんだろ」
「ああ? またってなんだよ。いつもしてねえべや」
「してるってば! 言わないでって言ってるのに、ここに来るまで何連発したと思ってるの!?」
それより赤くなって怒るとか可愛すぎんだろ。
つーかいまいち分からねえんだけど、あれだべ? 前にもエロいとか言うなって怒ってたし、そういうことだべ?
「他に言いようがないんで慣れて欲しいんすけど」
「……」
「俺ただ褒めてるだけっすよ」
「……」



