ただ普通に仲良くやりてえってだけなんだけど、俺の場合、下心ありまくりだし。隠せねえし。
せっかく知りあったんだ。2週間の放課活動が終わったらハイさよなら、ってことにはしたくねえ。
でもバンビ先輩の地雷がいまいち分かんねえんだよな。
一時的に男と距離を置きたくて、ヤンキー無理で、写真嫌いで……今のところ俺、地雷踏みすぎだろ。
つーか半分以上バクときゅうのせいでねえかオイ。
過ぎたことはしょうがねえけど……どうすっかや。
考えたところで浮かぶのは、まず俺はバクみたいな男じゃねえと分かってもらいたいってことだけだった。
美化運動2回目は、部室棟やグラウンド周りに設置された手洗い場の清掃になった。
放課になって顔を合わせたバンビ先輩は、昨日と打って変わって気まずそうにそわそわしていた。三井先輩から事情を聞いたんだろう。だが、なぜか口をきこうとしない。
「先輩」
小さな背中に声を掛けても、タワシを動かす手も止めない。
「先輩。俺、怒ってないっすよ」
しかしまあ、タワシがいきなし似合わねえな。
「脛に青タンはできましたけど」
個人的にはスポンジ使ってほしーわ。
「むしろちょっとウケたっつーか、さすが先輩っつーか。まさか写真を何に使う気だって言われるとは……ふっ」
堪え切れず思い出し笑いをすれば、ぐるんっと振り返ったバンビ先輩は「謝ればいいんでしょ謝ればっ!」と、タワシを地面に叩き付けた。



