あーあ。バンビ先輩、怒ってんだいなー。


こんな不名誉極まりない処分なんか食らって、『気にしてないよ』なんて笑って許すやつがいたら、それはもう聖人君子か何かだ。


謝りたいけど、そんな隙も与えてくれねえやも知らん。

見た目に寄らずなかなか激しい気性の持ち主っぽいし。



出会いがしら、と言うべきか。

千円札を追いかけて校舎裏からひょこっと出てきた高遠 楓鹿――通称バンビ先輩を間近で見た第一印象は『なんだあの小動物』。


振り返ったバンビ先輩の顔をしっかりと把握した瞬間は、衝撃が走った。


身長と比例するように小さな顔。丸くて大きい潤んだ瞳。ばさばさなのにケバく感じない睫毛。


白い肌に馴染むふんわりとしたピンク色の頬と、つやっつやで赤みの強いふっくらした唇。ゆるく巻かれた栗色の長い髪。そしてセーラー服にだぼっとしたカーディガンときた。


あれは可愛い。可愛いとしか言いようがない。とにかくどこを触っても柔らかそうだった。


強いて触りたいところを上げるなら頬と唇と太ももと、胸だな。あれはC以上を期待できる。


加えて触りたいと思わせる魅惑的なフェロモンがバンビ先輩から漂っているのが問題だ。佇まいといい眼差しといい、なんだかエロく感じて困る。すげえいい匂いもした。


まあ、口を開けばなんとやら。