「何がおかしいんだよ。俺まで巻き込みやがって。ふざけんなクソバク」

「バッカお前。学校の窓ガラスって意外にたけーんだぞ。また俺の母ちゃん泣かせる気か」

「入学して1ヵ月ちょいで2度目の処分だぞ。どっちにしても泣くべや。てめぇなんか産まなきゃ良かったんだ」

「おい言い過ぎだろ。いくら自分が親父さんのゲンコツ食らうこと大決定してるからって八つ当たんなよ」

「にやにやしてんじゃねえ!」

「ぎゃははっ!」


振るった拳をひらりと避けるバクはこの上なく楽しげで腹が立つ。


クッソ……薄々予想はしていたが、いざ処分を食らってみると納得いかねえ。


この少しも悪びれてねえバクが、俺と同等の処分で済んでいることに納得いかねえ。


「つーかさぁ。処分がこれで済んだのって、やっぱバンビ先輩絡みだから?」

「ったりめーだろうが。むしろバンビ先輩はいちばんの被害者だべや。この痴漢野郎」

「トラには言われたくねーなや。なんだよ『マジでエロ可愛いっす』って! セクハラか」

「どの口が言ってんだ。率直な感想述べただけじゃねえか」

「あーあ。トラなんかに目ぇ付けられちゃって、バンビ先輩かわいそー」


てめぇが言うな。元凶のくせに。


「にしても可愛い顔に似合わず黒レースのヒモパンとは……たぎったわー」


さっさと捕まれ。

そう思ったが、ああ言えばこう言うバクの相手をし続ける気力はとうの昔にかなぐり捨てた。