「まあまあ、ふたりとも。サボろうとしなきゃこんなことにはならなかったんだし? 自業自得ってことでっ」
「うちバスの時間だから帰るねー」
「バンビ先輩また明日っす!」
え、みんな帰るの? いいけどそんな急に……。
「あっ、逆に怪しくて嫌だったみたいなんで、理由は俺らで考えといたっす! じゃ、今日までおつかれっしたー! かっこ俺だけぇーい!」
笑い出したミーアを追い掛け、バクはきゅうちゃんも連れて帰っていく。
楽しげな声が遠ざかってようやく、私は掲示板に突進する。しわくちゃの処分通知に浮かぶ黒いインクは、明らかに手書きの文字。
【2.理由 始まったばかりの交際に浮かれ過ぎ、校内で合体したため。】
「いやーーーっ!!! してないわよあのバカァアアア!」
真っ赤になった私は涙目にもなりながら、勢い任せに処分通知を破ってしまった。
その結果【始まったばかりの交際に浮かれ過ぎ、】までしか読めなくなり、余計に憶測を呼ぶと理由の欄全てを破ろうとしたら、その手を虎鉄に止められた。
すでに破ってしまった部分も取り上げられ、目を通した虎鉄は吹き出す。
「どうしたんだアイツ。バクにしては控えめっすよ、これ」
「感心してる場合!? ほんともう、あんたたちと出会ってからろくなことがないっ」
なんで処分通知ってわざわざ張り出されるの? これを見た人たちに今度はどんな噂を立てられるか……それより誰が何をしてくるかっ!



