「少しサボっただけで延期とか、普通ありえな……くっ、ははっ! これ写メりたいっ」
「任せろミーアせんぱーい!」
「許すわけがない!」
「あぁあああ!! 何してんすかバンビ先輩!」
掲示板から破り取った処分通知を奪おうとするバクは、もう処分とは全く関係なくなった。
それなのに私はまたこんな不名誉なものを……!
「そんなぐしゃぐしゃにして。また怒られるんじゃない」
くっくっと肩を揺らすミーアの背後では、虎鉄がきゅうちゃんにシメられている。
「何度バンビ先輩の内申に泥塗る気だゴラァアア!!」
と暴言や頭突きが繰り出されているのは視界に入っていたけれど、今日だけは助けない。むしろ拳をふたつ作り、「きゅうちゃんファイトッ」って可愛く応援してみせた。
「うぉい! 先輩何言ってんのわ!? 俺と同罪だべや!」
「はぁああん!? バンビ先輩の罪は可愛すぎることのみ! 身の程もわきまえず現を抜かしたてめぇこそが、大っ罪っ人!」
「先輩に現を抜かしまくってるお前にだけは言われたかねえよ! クッソ、離せ!」
胸倉を掴まれている虎鉄は、再びきゅうちゃんから強烈な頭突きを見舞われていた。
私はこれでもかってくらい処分通知を小さく丸める。
連絡掲示板は登校したときに見るものだけど、下校しようとした文化部の人が何人か見たかもしれない。
考えるだけで血行が悪くなる。ふらりと倒れたくなった私を止めたのは、ミヤテンからのメールだった。



