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『何やってるの!? いつからいたの!?』
その質問に答えるとしたら、バンビ先輩とも思えない『ウォエッ!!』が聞こえたので、何事かと見に来ただけなのだが。さほど迷うことなく傍観することにした。
なんせ2日前から腹立ってるもんで。
懐いてくれる後輩に対して、助けてほしいことは声を張ってでも言えるくせに。元カノに嫉妬したことはミス・オリガク目線でおもしろくない、気に入らないで片付けようとするんだもんな。
先輩と後輩って間柄ではあるが、身分が違うわけでもあるまいし。
自分に言い寄るその他大勢の男に俺も入れて、どいつが優秀かと、高みの見物でもしてたつもりか。お気に入りを見つけて、懐柔して、束縛したいなら余所でやれ。
と半日くらい思ったが、やめた。
駆け引きとか、性分じゃねえ。
すれ違ってる時間があるなら、無理やりにでも堆く積もったプライドやトラウマの山から引きずり下ろしてやる。
そう思った矢先に、これだもんな。
李堵なんかに迫られるバンビ先輩の油断っぷりにはほとほと呆れる。危機管理能力最低か。
そんなんだから尾行されてバクにまでスカートの中覗かれんだよ。危なっかしい。おかげで気が休まらない。
本当は今だって李堵を引き剥がしてえと思う。いつだって守ってやれたらいいと思う。
でも俺は、可愛いだけじゃないバンビ先輩だから、好きになった。



