……やばい。逃げ道がない。以前ゴーレムに見つかったときはレポート免除権をはく奪されただけで終わったけど、今回は初めから頑張ればご褒美があったわけじゃない。


強いて言うなら、自由な放課後……?


「んでいーわ。明日も学校さ来」

「はあ!?」


バクが声を張ると、ゴーレムは「全員」と付け足す。


「なぬかだってんのや!」


ほんと何を言ってるんでしょうか。


明日は土曜日ですけど?


「掃除やんだぐなったんだべ? んでいーわ」

「それなら掃除しなくていいっておかしいべや! やんだぐなってねえし! 雑用押し付けるために呼ぼうとすんでねえど!」

「んだらば、なしてサボんのや。サボっていい立場じゃねえべ」

「サボってねえでば! 2年のトイレットペーパーが足んねぐて集めてたって見れば分かんべ!?」


バクが腕を広げた先にいた私とミヤテンは、さっと持っていたトイレットペーパーを見せる。


しかしゴーレムは6人が次々と走り出すところから見ていたらしく、恩情を乞うも、頑として聞き入れようとしなかった。


黄土色のジャージを着るゴーレムが去ったあと、


「かばってあげられなくてごめんね、みんな。彼と意思の疎通をはかるのはとても難しくて……」


と、赤いバラが生けられた花瓶を抱える校医なんかに慰められても、辟易するだけである。


そうして私たちは放課後が潰れるよりきつい、休日登校をする羽目になったのだった。



++