いっそのことみんなの前で言っちゃうとか……ないな。バクがいる時点でやめておいたほうがいい。
やっぱり虎鉄だけに、1番に聞いてほしいもん。
何それ今の私めっちゃ乙女。にやけそうになるなバカ! 虎鉄はまだ怒ってるって言ってるじゃん! 気を引きしめろ! 脱被食者!
「うぅうう~……」
「高遠はあれこれ考え過ぎると唸るよなぁ」
「マジ可愛すぎて脳内永久保存なんですけどおおお!!」
「なら永久保存版の写真持ってる俺は勝ち組ってことか」
ぞわっと全身を粟立てた声の持ち主は、李堵先輩だった。
突如現れたその人に全員『誰だっけ?』という顔をしたものの、真っ先にきゅうちゃんが「てめえ!」と目に角を立てたのでハッとする。
「バンビ先輩の周りうろちょろすんじゃねえって言ったべや! つーか永久保存版の写真ってなんだ! よこせイヤ違う返せ! 返さねえとその面ボコボコにして今度こそ矯正すんぞ!」
「やめろアホが! また停学になりてぇのか!」
きゅうちゃんの襟を掴んでいた虎鉄がその頭を叩いた。私も二の舞を踏ませてはいけないと慌てて止めに入る。
「きゅうちゃん落ち着いて! 私なら大丈夫だから! こんな自分を勝ち組だとか言うナルシストやだキモイッ! じゃなくて、ほら、この人殴っても復活するし、手が汚れるだけだから! ねっ! 気持ち悪いだろうけど受け流すことも大事っ」
「ちょ、バンビ先輩、言い過ぎってか、仮にも元カレ……ふはっ、やべえツボりそう」
「バクも笑う以外のことは禁止!」
元カレだろうと無理なものはもう無理なのよ!



